茶一郎

憐れみの3章の茶一郎のレビュー・感想・評価

憐れみの3章(2024年製作の映画)
4.5
 暗黒大爆笑。「奇妙な波」時代に回帰したキレキレの監督による三つのブラックコメディ…時にグロテスク、時に神話的で、ずっと意地悪だ。
 三週間という短期間で撮られたためか、監督作で唯一「アメリカ映画」を意識させられる……ロケーション、モチーフ、何よりエマ・ストーンが爆走させる車種がダッジチャレンジャー!……それ故、三つの物語は「アメリカ的な〇〇」を皮肉っているように見え、「ビジネス」「家族」「宗教」とそれぞれの共同体の脆さ、欺瞞を浮き彫りにする。
 また常に「〇〇に縛られた哀れなるものたち」を描くランティモス節は、本作でも一貫しており、登場人物それぞれが何かに縛られ、それを引いた冷淡な視線で描き出す。エマ・ストーンがチャレンジャーを暴走運転する度に笑いが込み上げてしまった……三つ目の章が個人的ベスト。【記録】
茶一郎

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