中古物件ながら念願の一戸建てに両親と姉弟に加えて祖父母と越した中学三年生男子で、新しい生活に期待を抱くも霊感のある同級生の小百合から不穏を告げられる神木則雄。予感的中して次々と家族に不幸が起こって疲弊する彼が、家に住み着く女性の霊サユリに突如としてボケから回復した祖母と共に立ち向かう様を描いたホラー映画です。
中田秀夫や清水崇と並ぶ現代Jホラーを代表する映画監督ながら他とは一線を画すエンタメ色の濃い独自路線でファンを得る白石晃士が、押切蓮介がコミックバーズで連載した2010年の同名漫画を原作を読了後に「これを映画化するのは絶対自分!」と意気込んで映画化した作品で、両者のアンサンブルが評価されて観客からの支持を得ました。
「新時代のホラー」とのコメントはあるものの基よりバトルへドライブしていく漫画的スタイルを好む白石ホラーらしいものとなっています。それだけに予算もあって画としての迫力不足が顕著では映像化の意義は薄く、繰り返される「中学生ノリ」もくどさが目立ちますが、ベテランの根岸季衣が素晴らしい存在感で成立させている一作です。