回想シーンでご飯3杯いける

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

4.5
アポロ11号による月面着陸にまつわる陰謀論を軽快に笑い飛ばすコメディ映画。月面着陸の映像がフェイクであるという陰謀論は、1978年の映画「カプリコン・1」辺りで一気に広まってしまった経緯もあるので、50年を経た今、同じく映画によってアンサーを繰り出してきたのが何とも嬉しいし、頼もしい。

アポロ計画の話でありながら、古き良きアメリカを美化するノスタルジー映画ではなく、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」形式の歴史改編映画になっているも今っぽくて良い。'60年代当時に流行した音楽とファッションの導入も軽快だ。

そして、何度も言っているけど、嘘や隠し事って、映画にとって最高の題材なのだ。実際のアポロ計画と、それを国民に広めるためのイメージ戦略。その両者の関係が本作のテーマであり、そういう意味で名作「雨に唄えば」を思い起こさせる部分もあるし、もっと評価されても良い映画だと思う。

それから、2023年度の全米映画俳優組合によるストライキの影響で、劇場公開されるアメリカ製作の大作が激減している昨今に於いて、久々にハリウッドらしい秀作を楽しめたのも嬉しい。