2024.07.24
予告を見て気になった作品。
主演はスカーレット・ヨハンソン。
1960年代、アメリカは人類初の有人宇宙飛行でソ連に先を越され、宇宙開発を促進していた。
ケネディ大統領が人類初の月面着陸を成功させるアポロ計画を宣言してから8年、NASAではアポロ1号の事故をはじめとして、発射責任者のコールら職員たちは窮地に立たされる。
さらに終わらないベトナム戦争に国民の意識は移ろい、宇宙への関心が薄れつつあった。
一方、ニューヨークのPR業界でトップと呼ばれているケリーに、政府関係者が接触する。
彼女に課されたミッションは、全世界に対するアポロ計画のイメージ戦略だった。
ケリーが進めるPR作戦は手段を選ばず、イメージ戦略はアポロ計画の進行に必要ないと決めつけるコールは彼女に反発する。
しかしケリーの作戦によって議会の予算も通って国民の関心も惹き、カールも彼女の仕事に理解を示すとともに、ケリーもまた、アポロ1号の事故に対するカールの後悔と自責の念を知り、月面着陸に対する彼の情熱に惹かれていく。
アポロ11号の発射予定日が迫る中、衝撃的なミッションがケリーに課されるー。
お仕事もの×ラブロマンスに宇宙へのロマンと情熱を添えて。
いや〜やっぱ宇宙ってロマンが溢れてますね〜。
しかも今作はアポロ11号は本当に月面着陸をしたのかという都市伝説に食い込みかねないところにまで話が及んでおり、ちょっとオカルティックな雰囲気も出していましたね。
陰謀論とかは全然信じていませんでしたが、中盤まではもしかして実は…的な方向にいくのかもと思えるのもまた良いところでしたね。
序盤で少しフェミニズムに対して言及されていましたが、今作はまさに仕事や夢、ロマンに対する男女の価値観の違いが出ていたように思います。
男たちが進める技術開発やシミュレーションだけでは世間の注目も予算も集まらず、女性のウソも男たちが為した成果や仕事にかける情熱があってこそのもの。
どちらが良いとか悪いとかではなく、両方あるからこそ良い仕事が進められるという様が描かれていました。
その流れに沿っているのだからケリーとカールが惹かれ合っていくのもまた自然でしたね。
作中で描かれた年代から60年近く経っていますが、宇宙についてはわかっていないことばかりで、むしろSF作品などで想像が膨らんでいくばかり。
しかしそうした作品にリアリティや迫力が出てくるのも、宇宙に情熱とロマンをかけていた人々や、夜空に輝く星に憧れて空を見上げていた人々がいた時代があってこそのものでしょうね。
そして何より、今作では宇宙開発と同時にベトナム戦争が描かれていました。
ケリーが戦争のことばかりを報じるテレビに辟易としていたり、カールが朝鮮戦争帰りだったりと、宇宙開発と軍事開発は紙一重のものなのかもしれませんね。
悲惨な現実を見たくないから宇宙に夢を託し、戦争を止めるような兵器開発が宇宙にも繋がっていく。
そしてそんな歴史の流れの上に今があるわけですが、最近は宇宙に夢を馳せるというよりは、SF作品を観てキャッキャしてる方が多い気がします。
しかしそんな現代の方が、月面着陸の陰謀論が広がりやすそうだし、すぐに見抜かれそうでもあり、なかなかバレないような映像になりそうでもありますね。
今作では晴れて月面着陸を達成して終わりでしたし、鑑賞後に軽く調べた感じだと陰謀論に対する科学者たちの反証も済んでいるとのことでしたが、今作のジャンルに「伝記」が含まれていないあたり、考証の余地が残されていそうなのもまた良きですね……。