藤ヶ谷太輔演じる地ビール会社の若き社長が、婚活アプリで出会った奈緒と付き合い始めるのだが、結婚直前となった一年後、彼女は突然姿を消す。
なるほど、本作を端的に言えば、「婚活啓蒙物語」だろう。
婚活が単なる相手の品定め、条件合わせになっていないか?
なんとなくじゃなく、相手の本質に向き合い、本当に愛してると言えますか?と問うてくる。
主人公の二人は、まさになんとなくで結婚しようとしていた訳で、奈緒の失踪で一旦破談となるのだが、藤ヶ谷が諦めきれずに奈緒の行方を探すことで、彼女の実像が見えてくる。
序盤から中盤までは、男性視点でミステリ調に物語は展開。
ところが失踪の種明かしが終わった終盤にかけては、女性視点になって主人公が入れ替わり、実は藤ヶ谷は狂言回しで、真の主人公は奈緒だったことが明らかになる。
なので彼女の内面的変化が、ザ・クライマックス。
心の内を全部台詞で言っちゃうとか、もうちょい映像的に出来なかったのか?というところはあるけど、婚活をめぐる自分では意識しない、と言うかあえて無視している、男女それぞれの打算と本音を、美男美女カップルに象徴させた、なかなか面白い寓話。
相手をモノの様に評価する傲慢さで、結局は人間の一面に過ぎない善良さを追い求める。
老若男女、いろいろ身に覚えのある人も多そうだな〜