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死刑執行人もまた死すのENDOのレビュー・感想・評価

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
4.5
椅子の背もたれの木材を落下させては積ませる反復、ウィンナーの飛び散る肉汁、頬のニキビなどゲシュタポへの嫌悪が視覚を越えて五感に触れる。チェコの市民が団結して犯人を仕立て上げる集団の暴力性によって自我が崩壊する罪人の構図は『M』に連なる。2時間ごとに失われる人質の命。抵抗運動により人々はその死を恐れない。先鋭的な暴力装置のゲシュタポに対抗するために無作為に選ばれた人々にエゲツない献身を要求する。個人では決して回り出した歯車を止めることはできない。政治に参加しないものには死が待ち受ける(参加したとしても)偶発的な生死の境目の曖昧さ。巻き込まれたら即終了。更衣室で容姿の似た医師2人がナチの警部に歩み寄るこの世のものとは思えない不気味な連動。カラカラに喉が渇く地獄の2時間15分。"No surrender!!!"を叫ぶ市民に顔はない。ナチスはもちろん恐ろしいが集団の匿名性も等しく恐ろしいのだ。NOT The End...
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