マリリン

死刑執行人もまた死すのマリリンのレビュー・感想・評価

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
4.0
【ドイツ語!ドイツ語!ドイツ語!】
◉1946年度ヴェネチア国際映画祭特別賞(フリッツ・ラング)受賞。
ヒトラーの肖像画が神々しく掲げられている部屋で圧倒的な不気味な存在感で周囲を恐怖に陥れる副統督、通称「死刑執行人」。舞台はナチス・ドイツの占領下のチェコ。チェコ人に対して「ドイツ語!ドイツ語!ドイツ語で喋れ!」と怒鳴り散らす。この冒頭のシーンしか「死刑執行人」は登場しないのに、脳裏に焼き付くほどの凄まじい印象だった。神経質な容姿と怒鳴りながらもどこかしら笑みを浮かべているような様子が本当に恐ろしい。でも彼はこの数分のシーンの後、暗殺されてしまう。そしてこれが物語の軸となる。
暗殺実行犯と一部始終を目撃した結婚間近の女性マーシャ。正義感からか、暗殺実行犯の逃走経路の嘘の供述をする。暗殺実行犯が逮捕できないゲシュタポは、重要参考人の彼女の父親やその他の容疑者を人質にして、次々と処刑していく。嘘の供述をする者、暗殺実行犯を匿っている者は本人のみならずその家族も処刑されてしまう。このジレンマと闘うマーシャ。自分と家族が危険な状態にありながらも、彼女の頭の回転の速さや勇気が最後はキラリと光る。ものすごいサスペンス映画だった。
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