ローマ教皇死去により行われることになった教皇選挙(コンクラーベ)の様子を描いた作品。アカデミー賞では脚色賞を獲得したが、他の賞では脚本や作品賞も獲得している。
世界中から100人を超える候補者が集まるコンクラーベを、一般企業や政治の比喩として描く風刺的な前半から、サスペンスから驚きの展開を見せる終盤まで、実に豊かな表情を持つ構成で、題材からイメージする難しさはなく、万人が楽しめる作風になっている。カトリックを題材にここまで話題を広げるとなると、キリスト教も新たな段階に入ったのかもしれないと思えたり。
しかし、コンクラーベを題材にした映画としては、アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスのW主演によりNetflixが製作した2019年の「2人のローマ教皇」の方が好きだ。2人が音楽やスポーツに関する話題で距離を縮めていく様子等、凡そ教皇っぽくない俗人っぷりが何とも可笑しい怪作であった。また機会があれば再鑑賞して、本作と比較してみたいと思う。