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シャイニングのymdのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.4
ホラー映画の不朽の名作として評価不動の本作。

数年ぶりに観返してみても初めて観た時と変わらない恐ろしさを感じて驚いた。
改めて感動したので再レビュー。

いわゆるホラーの文脈で語られる本作はしかし、たしかに霊的な存在は仄めかされるもののそれは一つのメタ的な要素となっており、あくまでも人間が狂気に飲まれていく「サイコスリラー」の体裁となっている。

ジャック・ニコルソンがゆるやかに豹変していく様は壮絶で息を吞む。
やはり映画史に残る名演である。
顔が怖い。
顔が怖いのはシェリー・デュヴァルもだが。

キューブリックイズムを存分に味わえるシンメトリーな構図、不穏なカメラワーク、
デカダンなサウンドトラックは非常にモダンで今なお色褪せない。

じりじりと足を絡めとっていく恐怖感の演出の巧みさは直接的なゴア描写を軽く凌駕する。

説明描写が非常に少ないので難解な印象を受けるが、一つの視点が重要なファクターとなっていたりと再鑑賞することによって理解が深まる面白さがある。

とはいえ答えを単純に求めるよりもカオティックな読後感を楽しむのが正しいのかもしれない。
乱立する解説サイトやブログの類にも様々な考察があって興味深い。
この映画にはそうした文学的な余白がある。

まだまだ分からないこと、気になることが残っているので折を見て再鑑賞したいが、
ひとまずは『ドクター・スリープ』に期待と不安を持って臨みたいと思う。
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