ホラーというより人間の狂気を描いた傑作。
正常と異常の境目は地続き。
ゆえに狂気に気づかない当人。
鏡像で間接的に提示される異常性は、徐々に実像へシフトしていく。
とは言えど、「ラインを越える」瞬間は確実に存在する。狂気に確実に足を踏み入れた瞬間、開かれる世界は、心底心地よいものなのかもしれない。そんなシーンが印象的だ。
また、ホテル内の美術はどこをとっても美しい。
神経質なまでのシンメトリーと、
ネイティブ柄のフローリング(そこには明らかにインディアンが根付く!)、
そして白・赤青緑を基調とした美しいカラーリング。
室内の赤と、豪雪の青(白)が交差するラストの画面構成は圧巻。