よーだ

シャイニングのよーだのレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.0
モダンホラーの第一人者:Stephan Kingの原作小説をStanley Kubrickが映画化。サイコホラーの金字塔。

ロッキー山脈に建てられたOverlook Hotel。深雪により冬期は閉鎖となるホテルの管理人として、妻子と住み込む事になったJack Torrance(Jack Nicholson)が発狂していく様子を描く。


映画が原作と乖離している事にStephan Kingは激怒したそうだが、"ホラー映画としての"完成度は高い。

広大な敷地面積を誇るホテルに3人ぼっちという状況に加え、「フローリングの柄」「家具の配置」「部屋の間取り」等シンメトリーな空間が不気味さを増幅させる。

耳鳴りの様な効果音。重苦しいテーマ曲。顔や目に向かってズームイン。低位置からのフォロー。鏡を使った演出。ゴア描写自体は少ないものの、ジワジワ恐怖感を煽られる。

Jack Nicholsonの怪演は勿論、Wendy役:Shelley Duvallの切迫感、Danny役:Danny Loydの可愛さと"REDRUM..."のギャップもとても良かった。


勿論、(未読だからなんとも言えないが)原作の設定も優れている(のだと思う)。

「双子の少女」「血の噴き出すエレベーター」「237号室」など超常現象は勿論不気味だが、白人至上主義(黒人差別、先住民迫害)、女性蔑視、児童虐待、外界との隔絶、事故物件などの《身近な不快感》が根底にある作風が効いている。

Stephan Kingの代表作、"IT"とリンクする点も多く感じる。
《呪われた土地》Overlook HotelとDerry
《狂気へ唆す存在》GradyとPennywise
《守護的な力》Shiningと"亀"
《舞台の表と裏》鏡と下水道


タイトルにもなっている不思議な力《Shining》についてあまり触れられていなかったのは(観客を"怖がらせる"ためには不要だったのかもしれないが)少し残念。

劇中、GradyはJackの事を"caretaker"と呼んでいるが、独立記念日のパーティ記念写真(1921年7月4日)を見ると、センターに写っている。髪型や服装など身なりもきちんとしていて、"caretaker"というより"owner"の佇まい。"都落ち"感を表現したかったのか?ここはよくわからなかった。


Kubrickのシャイニングは不気味だし、色々考えさせられる部分があり、面白かった。

Stephan Kingの原作シャイニングも是非読んでみたい。
よーだ

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