千年女優

ナミビアの砂漠の千年女優のレビュー・感想・評価

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)
3.5
エステサロン勤務の21歳の女性で、恋人のホンダと同棲しながらも彼の世話焼きな性格に退屈してクリエイターのハヤシと浮気するカナ。ハヤシから誘われてホンダの下を去り新たな同棲を始めた彼女が、初めは新鮮さを覚えるもすぐに小さな言動にイライラを募らせてやがてフラストレーションを爆発させる様を描いた青春恋愛映画得たです。

高校時代に映画に魅了されて日大芸術学部在籍中の19歳で制作したデビュー作『あみこ』がベルリン国際映画祭に招待される等高い評価を得た山中遥子監督が、近年映画を中心に存在感を上げて山中作品への出演を熱望した河合優実主演で制作した作品で、河合向けにオリジナルの脚本を書き上げて臨むとカンヌ国際映画祭でも評価されました。

過去にも多く作られてきたモラトリアム期の若者が異性を振り回す恋愛物語でも、特に日本ではその大半が男性監督作とあってこれまでになかった女性主人公像を生み出しています。男女反転はあっても類型作と同様に独り善がりな印象を拭うまでは至っていませんが、「夢」を追うのではなく「今」を捉えられぬ苛立ちが共感を誘う一作です。
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