福福吉吉

ナミビアの砂漠の福福吉吉のレビュー・感想・評価

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
21歳のカナ(河合優実)は特に目的もなく、ただひたすら毎日を過ごすだけの人生にうんざりしていた。カナは優しくて甲斐甲斐しいホンダと同棲していたが、自信家のハヤシに惹かれるようになり、ホンダのもとを離れ、ハヤシと同棲し始める。しかし、カナの心は満たされず、感情が暴走していく。

◆感想◆
常に鬱屈とした気持ちを抱えて生きる主人公が新しい彼氏と付き合い始めるというシンプルなストーリーながら、主人公の精神的な歪みと暴力的なふるまいが印象的な作品となっていました。

主人公のカナはエステの店で働き、色んな人たちと遊び、家に帰れば優しすぎる彼氏に世話される毎日を過ごしており、根拠のない不満を抱えているように見えました。彼氏のホンダが嫌われないように必死にカナに気を使い続けていて、カナは退屈さを覚えていたのかもしれません。ホンダには嘘をついてハヤシと肉体関係を結んでいることもあって、カナに感情移入できませんでしたが、何か大きな目的などが無い自分自身に苛立ちを感じる部分は少し分かるような気がしました。

ハヤシを恋人にしてから、カナの凶暴性が現れてきて、ハヤシに対して暴力的になる部分は観ていて非常に面倒くさい人物だと思いました。ホンダが異常なほどカナに服従していた分、カナにはハヤシが反抗的で気に食わない部分を感じて、それが彼女を苛立たせていたのだと思います。

私はカナという人物に全く好感を持てず、彼女に同意できる部分もほとんど無かったのですが、人の多くは人生の意味だとか果たすべき使命のような高尚なことは考えず、ただ毎日を過ごしていると思うし、その部分ではカナと同じじゃないかなと思いました。カナが時折スマホで観る砂漠で暮らす動物と同じようにみんな毎日をひたすら生きれば良いと思うし、それを極端に描いたのが本作なのかなと思いました。

好みの分かれる作品だと思いますが、なかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2025年3月25日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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