Hiro

河童のクゥと夏休みのHiroのレビュー・感想・評価

河童のクゥと夏休み(2007年製作の映画)
3.8
「かっぱのクゥの夏休み」
子供向けのほのぼのしたアニメかと思って油断してました。人間って愚かで、苦しい生き物だな。

自然を大切にするとか、そういうメッセージもあるかもしれないけれど、一番は「相手を思いやること」ではないかなと思います。一番簡単なように見えて一番難しいこと。

登場人物が皆、ちょっとずつ利己的に描かれているのもとてつもなくリアルでよかった。コウイチでさえ、「ただのいい奴」じゃなかったのがまた更にリアルで。

いつのまにか「自分と周り」として世界を捉えてしまうけど、クゥは世界をそのまま一つのものとして捉えていたのがとても印象的でした。だからあんなにも純粋でいられるのかもしれません。

あと、菊池ちゃんがお父さんの靴を捨てるシーン、台詞もないたったその一瞬に彼女の苦しみや辛さが詰まっているように感じられて、胸が苦しくなりました。彼女も彼女で辛いよなぁ…。

何より子供の表情一つ一つが本当に素晴らしく描かれていて、泣き顔だったりいじめっ子の顔だったり、極めて人間的に描かれていて、あの表情はCGでは描けないよなぁと感じたりもしました。

多分また歳をとって観てみたら、印象が変わるんだと思います。良い作品です。
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