Melko

河童のクゥと夏休みのMelkoのレビュー・感想・評価

河童のクゥと夏休み(2007年製作の映画)
4.0
「なあ、康一、オレ、死なねぇで良かったよ…」

愚かなり、人間は、愚かなり。。

実は、今年はオリンピック想定で、会社のお盆休みが1週間早くて、今もうすでに夏休みのわたし。
ずっと見たかったけど、話が重そうで敬遠してた作品を、やっと。

ショッキングなちょいグロ場面から始まる展開は、まさに”大人向け”。
子ども河童が時を超え、人間の少年と出会い、交流し、父の死を乗り越え、そして、決断する話。

人間はいつだって愚か。
要らぬ見栄を張り、悪口を言い、他人を傷つけ、しつこく追いかけ回す。
人々の好奇の目に晒されるクゥがとにかく不憫で、「逃げろ、早く、遠くへ、逃げろ…!!」と、中盤以降はずうっと胸が苦しかった。拾って世話してくれたお礼に、上原家の役に立とうと、世間の前に身を晒すクゥ。。そんなことしなくていいのに…涙
特に、自身も悲しい過去を持ちながら、仲良くなったクゥの為に力になろうと奔走するオッサン(上原家の飼い犬)が、泣けた……ほんとに泣いた。

なんか、ずっとクゥを目の敵にしてる妹が鬱陶しかったけど、なんだかんだ気の良い上原家。ここに拾われて良かったね、クゥ…。そんな上原家が、クゥを逃すために取った最後の作戦に、ジーン……
そもそもクゥを最初に見つけた菊池も、ずっと良い仕事してた。一人で、辛かったよね…涙

大枠は、大人が見て感動する話。
でも、子どもの時にこれを見て、人や動物との関わり方を学んでほしい、とも思う。子どもの声を子どもが演じるのも、臨場感があって良かった。

最初は、康一よりもずっと幼くて、か弱かったクゥが、出会いや別れ、死にたい思いを乗り越えたことで逞しくなった最後が感動的。
この作品の作画はあまり好みではないのだけど、自然の美しさ、人間の醜さと愚かさ、「人間ではない」者への畏敬の念とリスペクトが感じられて、監督さすがだな、と。


きっと、いつかまた会える。
出会いには、意味がある。
縁は、続く。
Melko

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