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ゴスフォード・パークのtakのレビュー・感想・評価

ゴスフォード・パーク(2001年製作の映画)
4.0
ロバート・アルトマン監督お得意の群衆劇。カメラが追いかけるのは、1930年代のイギリス貴族のパーティの様子。「上の階」の貴族(と呼ばれる人々)と、「下の階」の人々の対比が面白い。「上」の人々は人を見下すのに対して、「下」の人々は「上」に従いながらも人間的に敬っては決していない。それは、ヘレン・ミレン扮するメイド頭が言うようにあくまでプロとしての”職業”なのだ。キジ撃ちとおしゃべりに終始する「上」の人々は基本的に退屈している。故にゴシップが欲しくて仕方ない。それでメイドたちから噂話を収集するのだけれど、一方で我が身を守ることも忘れない。「主人以外のことは自由に話してもいい」なんて言って。

やがてマイケル・ガンボン扮する主人は殺される。でもそれはミステリーというよりも人間関係をより際だたせるための物語のひとつに他ならない。ここでは謎解きは二の次なのだ。だから証拠も見逃すような迷探偵しか出てこない。真実に気づくのはケリー・マクドナルド演ずる新人のメイドという、「上」と「下」の関係にどっぷり浸かっていない人物。クリスティばりのカントリーハウスミステリー的物語でありながら、監督の視点はあくまでも人間関係の醜さと、それ故の面白さにある。始まってからしばらくは、あまりの登場人物の数に圧倒されて、顔と名前が一致しないまま見続けることになる。けれどもキーとなる人物が絞られてくればあとは大丈夫。これからご覧になる方々は、これを理由に敬遠などされぬよう。これらをさばくオスカー受賞脚本の見事さ!。

 閑話休題、英国のソングライター対象の音楽賞にアイヴァ・ノヴェロ賞というのがある。人名だとは思っていたけど、劇中ジェレミー・ノーザムが演ずる人物がそれなのね。実在の俳優兼作曲家。ああいう人だとは今回初めて知った。いやお勉強になりました。
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