半兵衛

スウィート・スウィートバックの半兵衛のレビュー・感想・評価

4.2
白人からあらぬ罪をかけられことをきっかけに感情を爆発させた主人公のスウィートバックがひたすら白人の追跡をかいくぐり逃亡していく物語が、めちゃくちゃな編集や意味不明な撮影、ファンキーなソウルミュージックによりアヴァンギャルドの域に。しかし難解な内容かというとそうでもなく、白人などの強者に圧迫されそこから逃れたいと願う主人公ひいては作り手の切実な願望が生々しさをともなって伝わり圧倒される。滅茶苦茶すぎてシュールの領域に達している後半も、白人社会への戦いを決意した主人公の心情を表現していると思えば味わい深い。

映画の文法を無視した撮影技法が目を引くが、それでも作り手のメッセージがダイレクトに伝わるが凄い。同時にセンスさえあれば過去の文法なんてどうでもいいんだよということも。ただそれでもその熱がこもりすぎた世界観は見る人を選ぶけどね。

文化史や人類全体のことなどどうでもいい、ただ俺は目の前のムカつく奴に怒っているんだということをストレートにぶつけるエンディングに痺れる。
半兵衛

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