ルール絶対主義の円卓。
これまた尖った映像でした。
台詞はなく、私たちに提供されるのは動作や視線といった、それぞれの人物の所作となっています。
まず褒める部分として、雰囲気作りはバッチリで、如何にも何か大事なことをやっているんでい!と意気込んでいるのは伝わってきます。演技アンサンブル的な側面の満足度も非常に高いものがありましたね!
照明などの映像としてのクオリティも平均点が高く、見応えがあったと思います。
映像的運動、緩急は特に音を用いて行われ、おそらく上記で触れたルールを破った者が現れた時の緊張は作中人物たち同様に強く感じ、こちらも一気にその人に目を向けたくなりました。
ここからは、私の解釈という程のものでもない見解なのですが、所謂テーブルマナー(ひいては、知識階級、貴族階級、社会的に上に立つ立場の人間たちの暗黙の了解)を律儀に遵守するといった、不自由でい続ける滑稽さ、それでも尚その立場にしがみ続けることの愚かさを描いている、ブラックジョーク的な映像であるように感じました。
ただそう見てしまうと、緩急は少しつけてあるにせよ、テンション的には一定で、作品的仕掛けを見る前に終わってしまった印象でした。
現実世界においては、そうした劇的展開というものはあまりありませんが、これは作られた映像です。
純文学などの文学ジャンルは、明確なオチもなく終わることもありますが、この映像に関してはブラックジョーク的な試みで作っている、笑わせにかかる意識的な作品を目指した訳ですから、何か突き抜ける要素や展開を求めている自分がいました。
総じて、根底にある黒い笑いには共感しつつも、突き抜け切らないことにモヤモヤさせられる映像でした!