言葉を交わすことの大切さ。
女友だちが女性であることを隠すように、スカーフを頭に被せ続けていることが納得できず、男子が勝手に取って逃げ出してしまい……といった内容となっていましたが、ミニマムながら着実な「一歩」が描けていたと思います。
最初に男子が、歩いている女友だちのスカーフを勝手に取って去ってしまうのはどうなんだろうと、モヤモヤしながら観ていました。
ですが、物語が進む中で2人の関係性が明らかになっていき、やがて辿り着いたラストに、心が温かくなりました。
最初の違和感は当然制作陣も分かっていて、だからこそ言葉を交わすという行為として反響させていき、意味になっていく過程には、一定の納得感がありました。
また、風景からノスタルジックな雰囲気を感じさせていたのも、2人の愛おしい関係性をより感情移入しやすくしているようで、とても良かったです。
結果論ではありますが、スカーフを奪ったことで2人の仲はより一層深まったようにも感じ、人間ウジウジしているだけでなく、飛び込んでいく気概も必要なのだと示しているようにも感じました。
目立った悪いところもなかったように感じます。
強いて言うなら若干ですが、中盤は中弛みしていたとも言えるかもしれません。（絶対的に直さねばならないという問題点でもなかったですがね）
総じて、少しずつでも確実に成長していく少年少女に、ノスタルジックを重ねて観る佳作でした！
