僕には若手女優の中で推しが三人いる。
河合優実、高石あかり、そして伊藤万理華だ。3人とも演技が自由で妙に縮こまっていない。見るだけでこっちも元気貰える、というわけでまあ伊藤万理華でているだけでいいんじゃない映画です。
といっても映画自体もなかなか曲者でそこそこ楽しめる。特に後半の「世界がひっくり返る」感じはにやにや。ネタバレなんで言えないけど、ジャンル映画ではないんで安心してよし。
さらに画が綺麗なのも魅力だ。インスタ世代だからだろうか、どのショットもそれなりにおおってなる絵があり(その分あざといと言えるが)見ていて楽しい気分になる。女性監督ならではの「画の強さ」(この言い方はある種の失礼な言説かもしれないけど)を感じる。
ただ不満としては最後の決着点にある。あの中途半端な展開でいいのか、
それは僕には不満が残る。評論家の福田恆存はこう言っている。「昔からひかれもの小唄には刑場にひかれるものの芯底の悲しみではなくて、そこにはひょっとしたら助かるというすけべ根性がある」と。残念ながらこの言葉ってそのままこの作品に当てはまってしまうんだよなぁ。そう、最後は自分の作品が壊れてもいいから世界を構築するっていう「根性」がないんだよ。作品を壊したくないから「これくらいの展開でいいんじゃない」ってのがある、そこが僕にはどうにも不満。
最後の最後で置きに来ている感じがしてどうもそこに「覚悟」がないんだよって観ていて思ってしまった。でもそれを抜きにして単純いアイドル映画として、万理華映画として楽しむにはありですよ。
※伊藤万理華の着ている服が可愛い。服は自由に着るべきだ。そう、流行やモード、TPOなんか気にする必要はないんだよ。ただそれはある意味、思いっきり「センス」を試されることかもしれないけどね。
※とんでもないストーリーなのに全体的に緊迫感なし。でもその展開は嫌いではない。終始間抜けな展開はコーエン兄弟やカウリスマキ、あるいはヴィンセント・ギャロの映画を想起させる(僕の勝手な思い込みだけど)。常に頬は弛緩しっぱなし。