エリオット

殺人者のエリオットのレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
4.2
ロバート・シオドマク監督によるフィルム・ノワールの傑作!
シオドマクといえば「らせん階段」(44)「幻の女」(45)といったスリラー、サスペンスが有名だが本作も負けていない。
脚本はクレジットには出てこないが主にジョン・ヒューストンが担当したらしい。
原題のThe Killersはドン・シーゲルによるリメイク版(1964)と同じ。

田舎のガソリンスタンドで働くスイード(バート・ランカスター これが映画デビューらしい!)が、ある日突然二人の殺し屋に殺される。彼が掛けていた高額の保険を不審に思った保険会社の調査員ジム(エドモンド・オブライエン)が事情を調査するうちに、ある強盗事件の真相に辿り着く。そこには運命の女(エヴァ・ガードナー)の存在が…という話。

事件の真相を保険調査員が探り、そこにファム・ファタール(運命の女)が絡んでくるという点ではビリー・ワイルダーの「深夜の告白」(44)と同じ。

冒頭、2人の殺し屋が田舎の食堂に現れるがその威圧感からしてハンパない。リメイク版のリー・マービンは文句なしに強烈でカッコ良かったが、こちらの殺し屋もかなり怖ろしい。
そこから最後まで緊張感を持続したまま物語は続いていく。

途中、一味が給料日の帽子工場から大金を強奪するシーンなどは、工員たちの出勤の列に紛れて工場の敷地に入ってから金を奪って何台かの車に分乗して逃げ去るまで、長廻しのワンショットで撮っていて、それは圧巻。

そしてなんといってもエヴァ・ガードナーがファムファタールの典型というか、本当に妖しく美しい。
正直「深夜の告白」のバーバラ・スタンウィックとは一緒に地獄に堕ちようとは思わないが、この映画のエヴァ・ガードナーのためならどこまでも堕ちてさせていただきます〜である。



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