るるびっち

殺人者のるるびっちのレビュー・感想・評価

殺人者(1946年製作の映画)
4.0
これぞフィルム・ノワール!!
殺された男の謎を保険調査員が、『市民ケーン』ばりの回想形式で解き明かして行く。
ボクサー崩れの男の運命を狂わせたのはファム・ファタール。演じるはエヴァ・ガードナー、コテコテのノワールやんかいさぁ♥ 
キザに帽子を被り、十分老けた男に「引っ込んでな坊や」といい放つギャングたち。坊やじゃないよオッサンだよ~💦 堅気連中は爺でもオッサンでも、彼らにとっては甘ちゃん坊やなのだ。

こういうノワールでは美女は男を狂わす悪女として描かれがちだが、女性の経済的自立が得られなかった時代、男にすがるか騙すかしか生きる術はなかったろう。男性優位社会の偏見に満ちた作品。こういう世界だからこそ、老けたオヤジでもキザで居られた。今だったら唯の生ゴミ。煙草すら間仕切りの中で吸わされるご時世ですから、カッコなんかつけられません!!

男たちが気取って、無邪気にギャングごっこをしている隙に時代は変わり、暴力以外に芸の無い男たちは煙草のように隅へ追いやられて行きましたとさ、昔々の男たちのおとぎ話・・・それがフィルム・ノワールの世界。
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