継

蜘蛛女のキスの継のレビュー・感想・評価

蜘蛛女のキス(1985年製作の映画)
3.9
🕸
牢獄の壁に映る
鉄格子の扉が
蜘蛛の巣のように
その影を張り巡らす

とある南米の監獄.
千夜一夜物語の語り手
シェヘラザードの如く夜な夜な
微に入り細に入り物語る “昔々…”
記憶か妄想か今宵も延々ー.


政治犯と性犯罪者が檻の中
看守と通ずるゲイのモリーナは
往年の映画のストーリーを物語り
テロリスト, ヴァレンティンの心を開かそうと
徐々にその糸を手繰(たぐ)り寄せ
秘密を絡め取らんとするのだが...
🕸

モリーナを演じたウィリアム・ハートは
'85年カンヌと翌年のアカデミー賞で主演男優賞を獲得
LGBTという略語も無い時代に性的マイノリティの
社会的認知へ向け先鞭を付ける受賞となりました

ブエノスアイレス生まれの原作者マヌエル・プイグは
'73年に政治亡命し, 同年にウォン・カーウァイが『ブエノスアイレス』を撮るきっかけとなる “the buenos aires affair” を発表.
本作で自身を投影するかの様な物語を紡いだプイグは '90年,
エイズにより死亡.

ーおしまい、おしまい。
継