滝和也

女囚さそり 第41雑居房の滝和也のレビュー・感想・評価

女囚さそり 第41雑居房(1972年製作の映画)
3.7
人無き荒野を行く
人でなしの群れ…。

眼光鋭き、さそりは
何を思う…

「女囚さそり 第41雑居房」

女囚さそりシリーズ、更にバイオレンスに振り切り、暴走する第二弾。

前回復讐を見事、遂げたさそりこと松島ナミ(梶芽衣子)。再び収監された彼女をいたぶり、辱める所長(渡辺文雄)と刑務官たち。たが彼女は偶然にも脱獄のチャンスを得て、同行していた女囚たちと逃亡を図る!奴らへの怨みの炎を眼光に携えながら…。

レイプリベンジムービーとなりました今作、狂い果てた世界を逃亡しながらの復讐劇。バイオレンスに振り切り、実はエロ要素は前作に比べ皆無に等しい。それのシーンはあるものの、出ません。変わりに陰惨なグロに振り切り、更に強烈極まりないイメージシーンが叩き込まれるアバンギャルドな作風となっています。

正直、笑えない…。前作はまだ馬鹿馬鹿しい劇画チックな展開に多少呆れて笑えてしまうシーンがあったんですが、今回は不気味なんです…。金田一レベルの不気味さがついて回る。

それも梶芽衣子のライバルの女囚のリーダー格の白石加代子さんが鬼子母神を模したキャラでリアルに、またイメージシーンでも不気味さに拍車をかけてくるんですね。アングラ劇場の雰囲気を醸し出してくる。

更に逃亡劇でもあるので、バイオレンスとアンモラルさがマッドマックスみたいだし…。一番恐ろしいのは一般人の集団心理。これは酷いし…また小林稔侍がいるんですけどね(笑)

因みにさそりさん…台詞が…恐ろしく少ない!これも演出の一貫なんだろうけど、歌しか声聞けないかと思いましたよ。ラスト20分辺りまで喋りませんから(笑)

今回も主題歌は恨み節。ただ新たな挿入歌も良かったです。逃亡シーンに何度も被さるのは女囚のテーマでもあるんですね(^^)

かなり振り切れていますから、好き嫌いはありそうな作品。私は、前作のほうが正直、好みでした…。
滝和也

滝和也