ユンファ

十一人の賊軍のユンファのレビュー・感想・評価

十一人の賊軍(2024年製作の映画)
3.0
笠原和夫の遺したプロットを白石和彌が映画化した、東映らしい血生臭い時代劇。

感想を書くのが一番難しいタイプの作品。
好きなジャンルではあるし、暴力描写も相当キレがあって良いのだが、キャラクターが今一つ立っていないので、感動できる筈アガる筈の場面でもノレない。相変わらずテロリズム思想全開なので、オチも大体予想通り。肝心のアクションは中々見応えがあるものの、爆弾以外の戦法が皆無だし、山田孝之は逃げ回ってるだけで何もしないため、流石に飽きる。

俳優陣はとても良くて、イケメンだとか美女だという意味じゃなく、全員が"いい顔"をしている。その時その場所に、ちゃんと存在しているように感じられる。
芸人や元アイドルといった俳優業中心に活動していない人も含めて素晴らしかったので、これはキャスティングと演出の勝利だと思う。

全体としては決して悪い印象の作品ではないし、現代日本でこのジャンルの映画をこれだけ上手く作れるのは白石監督以外にはいないだろうが、もし深作欣二や工藤栄一が演出していたら…と思わずにはいられない。
ユンファ

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