今後の白石和彌と東映のための約束手形的印象が強く、お約束展開と煽り芸がだらだらと流れている。細部への拘りにおいても信頼をおけるはずの監督なのだが、まず役者の顔の清潔さに不自然さを覚える。(昔のはモノクロだし肌艶までは分からないが今はそこも出る)
仲野太賀と山田孝之の共演という点に興味を抱き観に行ったが、(役者)の人たちもたくさん現れてきてなかなか2人きりになる場面がない。
結局最後まで2人きりで濃密な場面はないのだが、終盤は人がだいぶいなくなってこれまでの波長合わせが不要になってか、ギアが上がった仲野太賀の獅子奮迅っぷりは見応えがある。
相変わらず役者をやりたい人が多いが彼は別モノで、初共演？の憧れの先輩をも越していたと思う。(だいぶ前から越していた気がする)
思わず前のめりになってしまうような瞬間がなかなかないが(白石和彌監督がほんとにやりたいのは観てないけど極悪女王の方だと思う)、ラスト、2人が橋を渡り始めるとこで閉じてくれるのは白石監督らしいし、好きだ。
もう敵が待ち構える橋を渡っていくわけではない というのに一瞬希望を覗けたが、
彼等は一文無しだし状況は砦の時とたいして変わらずなのかも..
シネマシティの極音
