間口の広い堂々たる時代劇エンターテインメント。宣伝で推されている「東映集団抗争時代劇」の過去傑作にあったようなドライさ、クールな画、冷徹な視点は薄味なので、「集団抗争時代劇」「原案・笠原和夫」といったキーワードは一旦、置いて観るべきだろう。
何より奥羽越列藩同盟を裏切った新発田藩の「官軍」と「旧幕府軍」との板挟み状態に着目した笠原和夫氏のプロットは抜群に興味深い。また本山力さん演じる罪人の本格的な殺陣は目を見張るものがあり、仲野太賀さんの鬼気迫る殺陣も見所だ。
やや物語、時代劇の世界観にマッチしないオーケストラのウェットな劇伴はミスマッチなように感じ、オープンセットが故の画の弱さも気になってしまった。
とはいえ、この時代に「東映集団抗争時代劇」を蘇らせようとした志の高さには頭が上がらない。また次の新作が作られる事を願って待つ。【記録】