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愛されるために、ここにいるのkieのレビュー・感想・評価

4.0
フランス映画らしく最後の結末は観ている人に委ねる。この作品は、実に心地良い放置プレーだった。無理難題ではなく、私ならこう思う!とすんなり結論が出る。

裁判所の決めた判決の執行官が生業のジャン=クロード、50歳くらい。仕事を通して、誰かに愛されるわけでもなく。

家族が見捨ててしまった頑固父さんのお見舞いに毎週行くも、父から愛されているとは思えず。

タンゴ教室で一緒になった若い女性フランソワーズと良い雰囲気になるも、結局フランソワーズが他の男性と婚約中と知り、また愛されているとは思えず。

とにかく、愛されていると実感がまるで無い人。

でもね、愛されていないと思っているのは、言葉の上だけであって、実際のところは違っていた・・・。

随所に出てくるタンゴの調べと、フランソワーズとジャン=クロードとのタンゴ、これが二人の心情を実にうまく描いている。そして、私は思う。世間で言われている幸せの形でジャン=クロードとフランソワーズは結ばれることは無いけど、「愛される」という意味では、二人は永遠に愛し続けると思う。ジャン=クロードがいるから、フランソワーズの結婚もうまくいくだろうし、フランソワーズがいるからジャン=クロードの残りの人生も愛あるものになると思う。

こういう作品に出逢えるから、やはし、映画はええのぅ!!
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