フィリピンによるボルテスVの実写化。もう完璧すぎる。愛しかない。愛のみが世界の正義なのだと問答無用に訴えかける作品だ。
フィリピンでボルテスが国民的人気なのは有名だが、まさかこんな作品が作られるとは。いま日本でアニメや漫画の実写映画が作られると広告代理店やタレント事務所の利権でグチャグチャにされてファンが置いてきぼりになることを比べたら、オリジナルに対するリスペクトが違いすぎる。中間搾取をされていないので映像に金がかかっているのが一目瞭然だ。
今作はアニメの1.2話を忠実に再現している。
突如として地球に襲来し侵略を開始したボアザン帝国。為す術も無い地球の軍隊だが、極秘裏に製造されていたボルテスVで返り討ちにする。
ボルテスVの所在を探り秘密基地ビッグファルコンにいきなり総攻撃を仕掛けるボアザン帝国。ボルテスVのピンチにアームストロング兄弟(剛兄弟に値する)の母親が特攻を仕掛け勝利に導く。
ぶっちゃけていうと70年代アニメを忠実になぞっているので、良くも悪くも大雑把だ。
いきなり侵略に来るエイリアン。5人の少年少女らはいきなり「ボルテスVに乗って敵を倒せ」と言われて何の疑問もなく命令に従う。90年代の碇シンジ君のような「乗りたくない」という主張は一切無い(笑)
ツッコミ所と言いえばそれまでなのだが、逆に言えばこのお陰で異常な程のスピード感とテンポの良さを獲得している。
それに、全体を通して軍事描写も濃くなってるんだよね。防衛軍にミリタリズムを感じるので“5人の仲間”が、命令に忠実なことも余り気にならない。彼らが、若くても特殊部隊の一員として訓練を受けていたという設定が上手く飲み込める。
超電磁マシーンボルテスVを始めボルテスチームの衣装、そしてボアザンの獣士ドクガガやバイザンガに至るまで、オリジナルを忠実に守りながらもディティールを増したデザインの素晴らしさ。
合体シーンでテーマ曲が流れたときは、ホント極まりすぎてて変な笑いが出ちゃったもんな。それくらい凄い。
この映像を作り上げたフィリピンのスタッフにマジリスペクトだし、これが出来ない邦画界の現状に歯がゆい思いしかない。