冗長です。設定も甘い。あの設定で冒頭の移民母娘のシーンはいったい何だったのか。その後の展開で新次の娘もクローンのおかげで助かっているというシーンがあったけど、移民娘の細胞でクローンを育成しても間に合わないのではないのか。とすればクローン育成が出来るのはそれなりに裕福な家庭でほぼ生まれた時からクローンを子供と同時に育てていくか、特に優秀な人のクローンを途中から育成し十数年後に利用可能になるかしかないのではないのか。途中で登場する海の女はいったい何だったのか。現妻とは政略結婚だと話していたことから本当は海の女が好きだったということなのか。回想ででてくるトンネルの先の施設は使用済みクローンの集積所だったのか。しかしそれは今どこにあるんだ。医者もいい加減で、具体的な手術計画を示さずに任せてくださいなんて、いったいいつの時代なんだ。結局手術を受け入れなかった新次は亡くなってしまうけど、そのクローンはどう処理されるんだろう。脳に記憶を植え付けるため本体の記憶をフィルムにしたというが、脳を移植したらいったいどっちが本体になってしまうんだろう。そしてなぜまほろは自分のクローンに会おうと思い実行するのにただ外から眺めるだけにしたのか。設定上理解できない部分が多すぎて楽しめなかった。さらに本人が自我を持ったクローンと対話するに至っては、そここそが本作の肝であったはずなのに、なんの感慨ももたらさない日常会話で終わらせてしまい、なぜに新次が自分の命のためにクローンを犠牲にしない決断に至ったのかが全く分からなかった。せっかく多くの名優を配しているのになんかもったいない感じでした。