ドイツ人難民を助けることとナチスドイツへの恨みを抱くことの乖離は現在ならなぜと思うけど戦時中あるいは戦後すぐなら十分理解できたことだと思う。敵国人を助けることが反社会的行為であるとされてしまう時代に、人道的支援を行うことの難しさがうまく描かれていた気がする。一貫して支援するではなく、いろいろな葛藤があり、妻と夫の温度差が逆転したりするのも面白かった。そんな中でセアン少年が当初両親に対して批判的だったのに目の前で弱っていく少女をみて助けたいと思うのは人として当然だったと思う。もちろんセアンだって知らない土地の出来事だったら当事者を糾弾する側になったかもしれない。しかし実際に目の前で起こることを経験してしまうとなかなか自分の思想通りには振舞えないものかもしれない。そういったことを教えてくれる作品でした。