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フラッシュ・ゴードン スペース・ソルジャーズのrollinのレビュー・感想・評価

3.9
謎の惑星が地球に異常接近するなか、機上で隕石雨に見舞われたポロのスター選手フラッシュ・ゴードンは、恋人デールと共に命からがらパラシュートで脱出する。落下地点で遭遇した変態ザーコフ博士は、既に惑星へ出発する準備も万端のご様子。あれよあれよとフラッシュは地球を救うべく宇宙船へ乗り込むのだった!——

アレックス・レイモンドによる新聞の見出し漫画を映画化した全13章から成るSF(スペース・ファンタジー)活劇。各章20分程の短編ながら、毎回印象的なクリーチャーの登場やドラマ、クリフハンガーが配置されていて求心力は抜群!各章の終わりに出る“次章は来週当劇場で上映します!”というテロップもTV放送が始まる前の古き良き映画文化が感じられてとても新鮮。

爽やかマッチョメンのハシリ、バスター・クラブ主演。ヒロインにジーン・ロジャーズ、恋敵オーラ姫にプリシラ・ローソン、ミン皇帝をチャールズ・ミドルトンが好演。
若いにいちゃんが日帰り気分で宇宙の冒険に出るカジュアルさ。アメコミ映画のれっきとした元祖である本作は、手探りのDIY精神による世界一豪華な学芸会!
そして何より大人たちがこの奇想天外、素っ頓狂な作品を真剣にやっているということが素晴らしいのでがんす!

惑星モンゴを支配するミン皇帝の娘オーラ姫がゴードンに一目惚れしたことで、物語はデールとのゴードンの奪い合いがほぼメイン。さらにミン皇帝までデールに一目惚れしちゃうもんだから、全くこの親子は‥‥。
一方、囚われた変態ザーコフ博士は、ミン皇帝に褒められ満更でもないながらも、惑星の軌道修正に成功し、一行は先の皇帝の遺児バリン皇子や、敵だったライオンマンのサン王子、天空都市のバルタン王らと団結してミン皇帝に立ち向かうのでした。

地球から望遠鏡で覗いた惑星はジョルジュ・メリエスの月っぽくて微笑ましい。そして惑星を闊歩する巨大な爬虫類(マジでイグアナ)の衝撃!
ミン皇帝が崇める結婚神テイルの巨大な像のダイナミックな動きや、不意にバタフライで襲って来るウォーターボーイズ、恐怖の猿人や、シャークマンの海底都市の殺人タコ(マジでタコ)、熊にスプレーでペイントを施したワニ熊など、脳筋全開、フィジカルな特撮の数々!
そして地下トンネルの番人、円谷プロ製(うそ)の火竜を地球の手榴弾で殺すという元も子もない選択!

記憶を無くしたゴードンがバリン皇子に剣を打ち付ける場面はルークがダース・ベイダーを打ち負かすシーンの元ネタやし、透明になったゴードンがミン皇帝の首を絞めるところなんかはまさしくフォース・チョーク。サン王子の迎撃船をミン皇帝が撃ち落とすシーンなんかはゲーセンで上手い奴のプレイを皆で囲んで見守ってるよう。
ミン皇帝のあっけない幕引き、そして真の黒幕、裏切り癖のある地下トンネルのドラ打ち司祭が遂にその本性を現す!

バリン、サン、バルタン、そしてオーラ姫が一同に集い、ゴードンたちを見送るシーンは何故かホロっと来てしまうし、映画ドラえもんの非日常世界から強制送還されるさびしさを思い出すのでがんす。

そしてデス・スターから地球へ帰還出来る確率は何と0.000001%!!これがスペース・オペラだ!
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