ディー

ミリキタニの猫のディーのレビュー・感想・評価

ミリキタニの猫(2006年製作の映画)
4.5
授業にて。

歴史は繰り返される。
かつて米国が日本に対して行った事を、米国は繰り返そうとしていた。
無論、
日本では「真珠湾攻撃」や、アフガニスタンにおいては「911」といった原因を引き起こした「国家」や「思想」は悪ではない、と断言することが出来ない。
しかし、だからといって国家という曖昧な共同体に所存しているというだけで人々が断罪され、迫害される事はあってはならないと思う。
そのような迫害が生んだ怒りは怒りを生む。
これがこの世界から戦争が無くならない理由なのだろう。

しかし、
この映画中で良かった、救われたと思ったのは、アメリカという多様性の国において人々を迫害によって追い込む人もいれば、
それを救いうる人も存在したということ。
そして、ジミー·ミリキタニがそれに気付き、
救われた事。
そう、ドキュメンタリーでありながら、監督がジミー·ミリキタニの人生に介入する事によって、彼の人生を大きく変えている。
起こった事をそのまま映す、というドキュメンタリーという枠を越えて、監督の人間愛が起こす素晴らしいドラマを見ている様だった。

あとは純粋に、猫の絵が可愛かった
その裏に隠された悲痛な事実や歴史を考えると胸が痛くなるのだけれど。


もしも自分自身の身に、他人の不幸や怒りの矛先が向けられた時、自分は相手の立場から、自分自身の「怒り」と向き合って物事を考える事が出来るのだろうか。
と、色々と考えさせられる素晴らしい映画だった。
ディー

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