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エリン・ブロコビッチのYYamadaのレビュー・感想・評価

エリン・ブロコビッチ(2000年製作の映画)
4.2
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈シングルマザー、巨大訴訟に挑む〉
 ~米国史上最大の和解
 「ヒンクリー地下水汚染」集団訴訟 /   
  1996年
・場所: アメリカ/カリフォルニア州
・人物: エリン・ブロコビッチ
    (法律事務所職員)

〈見処〉
①素人職員、史上最大の和解を勝ち取る
 痛快ストーリー!
・『エリン・ブロコビッチ』は、2000年製作のアメリカ映画。アメリカ西海岸を拠点とする大手企業PG&Eから、史上最高額の和解金を勝ち取ったエリン・ブロコビッチの半生を描く。
・舞台は90年代のカリフォルニア郊外。3人の子どもを抱え、職もないシングルマザーのエリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)は、ある日、自分が遭った交通事故の訴訟をきっかけに弁護士エドワード(アルバート・フィニー)の事務所に押しかけ、半ば強引に自分を雇ってもらうことに成功する。
・そこで整理中の書類から、大企業が環境汚染をしているのでは、と疑念を持つ。正義感と情熱だけを武器に、勝ち目の無い訴訟を起こすのだが…。
・本作は1996年に米国史上最大の3億3300万ドルで和解した集団訴訟「ヒンクリー地下水汚染」を基にした作品。非常に痛快な作風にて、当時では画期的であった、名もなき一般人をタイトルネームにしたことでも話題になった。エリン本人はウェイトレス「ジュリア」役でカメオ登場していることも見逃せない。
・また、当時32歳のジュリア・ロバーツは、本作にてアイドル女優から演技派に脱皮。第73回アカデミー賞で主演女優賞を獲得し、ハリウッドトップ女優に返り咲いた、まさに彼女の「はまり役」で代表作となる。

②ソダーバーグと大衆娯楽作品
・本作の監督、スティーブン・ソダーバーグは、26歳時の長編監督デビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』(1989)にて、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。
・以降、鮮烈なデビューにて、若手芸術監督の旗手として知名度を得るが、しばらく商業成績は低迷。
・転機となったのは、メジャー・スタジオのユニバーサルから大衆映画の監督として雇われた『アウト・オブ・サイト』(1998)にて商業的に成功を収めたことから。
・続く2000年は、本作『エリン・ブロコビッチ』と『トラフィック』の2つの監督作品にてアカデミー監督賞にダブルノミネート(『トラフィック』にて監督賞受賞)。
・翌2001年には、『オーシャンズ11』ではジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツのオールスターキャストを揃え、全世界で4億ドル以上の興行収入を記録、「先鋭的芸術作品」と「大衆娯楽作品」の双方面で成功した監督となった。
・双方面の作品を手掛けることは、仮に「失敗作」となった場合でも、名声を汚すリスクが排除出来るメリットがあり、ソダーバーグ以外にも、マーティン・スコセッシ、スティーヴン・スピルバーグ、トッド・フィリップスなどが同等のスタンスにて挑戦的な作品製作を続けている。

③「娯楽作品」から得る「学び」
大衆娯楽に寄せた本作であるが、沢山の学びを得ることが出来る。だからこそ、映画は素晴らしい。
・エリンの直向きな達成意欲と行動力は、万人が見習うべき素晴らしい能力
・人を容姿だけで判断してはいけない。先入観が恐いものと自覚すべき
・多数の被害者から集団訴訟の合意を得られたのは、ひとえに「信頼関係」の賜物
・「承認欲求」を満たした人は強い行動力を発揮出来る
・企業は社会的責任から逃れられない
・弁護士エドとエリンの雇用関係は「成果報酬」形式の完成形では!?

④結び…本作の見処は?
「実話映画」最高峰と思える名作。
◎: とにかくパワフルなジュリア・ロバーツ。何度観ても元気を与えてくれる、サクセス映画の代表作。
○: ハリウッド屈指の名脇役、アーロン・エッカートの出世作としても本作は見逃せない。
○: シェリル・クロウによるカントリーロック調の劇中曲「Everyday Is A Winding Road」は、いつ聴いても本作の名場面を想起させる名曲。
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