星降る夜にあの場所で

風の星降る夜にあの場所でのレビュー・感想・評価

(1928年製作の映画)
4.6
シェストレム晩年の傑作メロドラマ。

猛威をふるって吹き荒れる風(強弱はあっても毎日台風が直撃している状態)と砂が、容赦なく孤独と不安に押しつぶされそうな主人公の精神を崩壊寸前まで追い込んでいく徹底的な演出は、素晴らしいを通り越して怖い(リリアンの怯える顔だけ見ていたらホラーにしか見えません)。
この大掛かりな演出の中(最初から最後までぶっ通し。家屋の床下にはハリケーンの際、非難するための防空壕のようなものまである)にも、拳銃、二人の靴の動き、馬の解体作業、、重なる皿など…の小道具を使った暗喩表現は時にコミカルに時にシリアスに時にシニカルに…不安定な主人公の心の機微等を見事に表現しています。
当時物議を醸したラストシーンも、原作通りの暗雲低迷な結末より結果論でしかありませんが現代の私たちから見れば、逆にそれまでの演出がより一層強調されて美しさすら感じるワンシーンに仕上がっています。

年齢(公開当時すでに35歳)、サイレントからトーキーへの変革期(前年1927に「ジャズ・シンガー」公開)、スタジオ・システムの隆盛期(本作もリリアン本人が小説を読んで映画化を切望したことから始まる。作品に対してこだわりを持つ監督や俳優はやりづらくなる)など、様々な理由が重なり本作はリリアンにとって曰く付きの作品となってしまったらしい。
ハッピーエンドで幕を閉じる本作ですが、実際には逆らうことが出来ないハリウッドの強烈な砂嵐がリリアンに襲い掛かり、原作のような末路へと導かれてしまいます…
皮肉なものですね(1912年のデビューから16年間連続で公開されていた新作公開が本作公開の1928年で一旦途切れ、それから数年間何本かに出演し、一時期10年近く銀幕から遠ざかっています)。

日本では未ソフト化なのでupするのをためらっていたのですが、先日始めた#タグのために挙げちゃいました(笑)
私が観たのは3年前ですが、昨年も単館で公開されたようです。

☆★☆リリアン・ギッシュ☆★☆(*´з`)(*´з`)