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インフェルノのabdmのレビュー・感想・評価

インフェルノ(1980年製作の映画)
4.0
同監督で『サスペリア2』というのがあるが、それは邦題の罠で今作が『サスペリア』の正当な続編。
相変わらずネオンカラーのどぎつい色彩は前作を引き継がれているが、音楽の方はゴブリンではなくキース・エマーソンが作曲したクラシックぽく、またはジャズっぽさもあるロック音楽を使用している。
今作は不思議な映画で、テーマもそうだが何より映画を見るにあたっての誰もが抱く一抹の信用ないしは決まり事を破壊する行為をする。ホラー映画において主人公というのは非常に信用できる存在で、例えばスラッシャー映画では可憐で潔白な子が主人公だったり、または映画のご都合主義に護られた存在であることが多いが今作はそんな主人公(または主人公だと思われていた)という存在を軽々と、そして次々と退場させるため観ている側からすると気持ちの拠り所がないため次から次へと出てくる恐怖シーンに対して一切の容赦がなく、より一層不安になる。
この手法はもちろん興味の持続という面で見ると足枷になりかねない要素ではあるが、それを補うのが前作『サスペリア』であったりダリオ・アルジェントの凝った演出だったりする。
そして何よりもう魔女関係なくね!?とツッコミたくなる、アホな死亡シーンの連続には開いた口が塞がらないのだが、そこもまた見所。特に肉屋の店主には驚かされた。まあそういうのも込みで面白い。違った意味で前作にはなかった要素が足されているので。
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