Melko

午後の遺言状のMelkoのレビュー・感想・評価

午後の遺言状(1995年製作の映画)
3.7
うーんと歳を重ねてからもう一度見たい作品だった。
言いたいことが、分かるようで分からない。
結構ストレートに伝えてきてるのだが、なんだろう。作品の吟醸を噛み締めるまでには、私には人生経験がまだまだ足りない。

お初かもしれない杉村春子。貫禄の老女優。避暑に長野の山奥へ。
避暑先の山荘を管理するのは、乙羽信子演じる、これまた老女。
なんだかよそよそしく淡々とした、でも不思議な温かみに溢れた二人のやり取り。
そこへ突然現れた老夫婦。昔話に花を咲かせるも、老女優のかつての同僚だった年老いた妻は重い認知症。
危ない訪問者もなんとか力を合わせてやり過ごし、まさかの警察からの表彰。それでも妻の認知症は依然として。そのうちに、去っていく老夫婦。どこか様子がおかしく見える。
老女と老女、40年越しの秘密暴露に、不穏な空気からの大人としての対応。そして届く、衝撃の知らせ……

場面におばあちゃんとおじいちゃんしかいなくて、うんと若い松重豊や内野聖陽が時々出てくる。

生きるとは。
死ぬとは。

自分が死んだら、棺桶の蓋をこの石で打って閉じてほしい

そんな寂しいこと言わないで…なんて思ってるうちはまだまだ若輩者か。

食べること、歩くこと、誰かと話をすること

老いると、昔のことはよく覚えているのに、最近のことが思い出せないそうで。
私の両親も、折にふれてそんな、私の知らない彼らが生きてきた時代の話をしてくれて。
分からないから、「へぇ〜」っていうしかなかったんだけど、人生を折り返した彼らは、なにかを伝えようとしてくれてるのか。
その言葉を落としてはいけない気がしてきた。

大女優とうたわれる杉村春子も凄かったけど、実際に死の間際だったらしい乙羽信子の演技が淡々としていて凄かった。
Melko

Melko