とにかく気味が悪い。
情報が不確実で実態がわからないことの不安さと、それゆえの際限のなさ。
誰が正気で誰が侵されているのか、その境もわからないので後半にいくに従って出てくる人物のすべてが疑わしくなり、落ち着く場面が一つもなくなる。
最後のファミレスのシーンにいかに不安や恐怖が蓄積されてきたかを感じた。
もはや、世界から完全に境界線が消えてしまっている。
最近になって見方がわかってきた黒沢清作品。
どの作品でも言語化できない不安や恐怖を映像や音の力で感じさせる。
今作では作品のテーマがメタ的に表現の方法に直結しているようで、くらくらした。