又野克明

CURE キュアの又野克明のレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.6
黒沢清三部作のうちの第一作目。私にはミステリーやサスペンスと言ったジャンルの定義がイマイチわからない。だから、ジャンルによってこの作品を語ることができない。悔しいが、私流にこの映画の面白さをあなた方に伝えることにしたい。

この物語は次々と連続殺人を犯していく精神異常の犯人を追っかける、刑事の、犯罪ホラーである。ホラー(は私にも意味は分かる)はホラーでも、犯人の精神異常の人間像や、それを追う刑事の私生活の破綻などが描かれ、やはり私が一番、興味深かったのは異常殺人犯の喋り方のクセやしぐさである。これは見ものであった。これは後の同監督の『クリーピー』でさらに開花される。

ところで、この物語は殺人を扱っているが、本当に催眠術で人を殺められるだろうか?と言う疑問もなくはない。私の常識と言うか、まともに考えたところによっても、まさか催眠術では人は人を死なせられない。そこは安心なのだ。なので、ここで萩原聖人が犯している殺人はひょっとするとあり得ないのかもしれないのだ。そういう意味では安心して見てられる。やはり、催眠など、取るに足らないのではないか。

そこが特にこの作品を面白く盛っているところだと思えた。あと、もう一つ。最初に書かなければならなかったのかもしれないが、この作品は非常にまとまりの良い黒沢作品だ。その点でとても見やすいと言うところがある。ただ、3回も4回も見ると、流石にこわい。うじきのあのシーンがいまだにこわい。
又野克明

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