76年の新宿。
甲州街道をぶっ飛ばすブラックエンペラー。
カメラ、編集、音楽、そして意外にも気の利いた独白や会話。
不良の美学が白黒フィルムに焼き付けられている。
暇をつぶすためのコンテンツなんて深夜ラジオかバイクくらいしかないよな。
携帯も深夜テレビもコンビニもないんだからさ。
団地で南無妙法蓮華経とダウタウンブギウギバンドのレコードの音が交錯する風景。
宗教に救いを求める親、不良のアイコンに救いを求める子。
不良の流儀を美化したような作品ではなく、若者の遣る瀬無さが随所に噴出している。
本作に出演する男を間接的に知る者の解説を聞きながら鑑賞。
後に三代目総長となる本間雄二は、更に後「19歳の地図」で俳優デビューとなる。