夜光虫

ザ・ルーム・ネクスト・ドアの夜光虫のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ペドロ・アルモドバルもすでに75歳。「オールアバウトマイマザー」や「バチ当たり修道院の最期」を撮った監督の作品だろうか、と思うくらいに、これまでの作風とは打って変わって抑制的なストーリー。官能的な色遣いも抑制されており、老境に達した監督が新しい地平を拓く様が何とも感慨深い。
死期を意識した女性の、死があるゆえに自分の生がある心境。望んでなかったはずの死が不可避となったとき、残りの生はすべて死へと向けられ、死をもって自身が完成する。そのとき、フィルムはいつものアルモドバルらしい妖艶な色遣いが甦る。そのシーンを決定的に印象的にするための抑制であったか。
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