停滞

男性・女性の停滞のレビュー・感想・評価

男性・女性(1966年製作の映画)
4.2
またの題を「マルクスとコカコーラの子供たち」とも。
マルクスの子供であるポール(ジャンピエールレオ)が行う世論調査としてのインタビューを通して若者(子供たち)の姿が描写される。マルクス=教養や政治的思想を持ち社会に働きかけようとする存在、コカコーラ=ある意味教養・思想がなく消費社会で消費される対象という構図が見えてくる。ポールはなんだか楽しそうで割とイケてて同じ21歳の自分としては憧れも感じるんだけど、共感し惹かれるのは、マルクス的存在である同志がいないことで、その寂しさ、静かな絶望、コカコーラ社会の大きさに生きる希望を断たれそうになる様、そこが心に響く。ジャン・ピエール・レオはヌーヴェルヴァーグの申し子として最高の役者。

このような内容性もさることながら映像的にもジャンプカットやFINの文字、存在感のある音、長回しで一連のシークエンスを捉える会話などゴダール臭がプンプンプンプンしてきてやられてしまう。
「荒野に向かって、吼えない…」というブログを拝読させていただいたのですが、ゴダールとトリュフォーの裏側での関連性を知るとほんと映画が面白いと思ったというか、ヌーヴェルヴァーグというもの、いやテーマを様々に変容させていったゴダールの作品を全部見てやりたくなった!
停滞

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