前作ほどじゃないけど何回か見てる。かなり久々。オープニングから予算増えたのが丸わかりのクオリティにちょっと笑ってしまう。前作同様トリニティのアクションシーンで始まるので意識的に比較させられて出鼻をくじかれる。このシーンは後半にもう一度出てきていて意図が理解できる作りになっているんだけど、最初は単に技術向上の見せびらかしに見えてしまう。全体的に同じようにウォシャウスキーの狙いと観客の反応とがズレてしまっているように感じる。
今回はふんだんな予算と多彩なアクションを見せたいがためのシークエンスが多く、アクションが始まるとテンションがパッと切り替わり、コマーシャルが挿入されでもしたかのようにドラマの流れがぶつ切られて停滞してしまう。
ネオのアクションもCG処理感満載な上、決められた型をなぞっているように見えて緊張感がまるでない。お家芸的なスローモーションもなぜそこ？みたいな上がらない部分を抜き出してばかりで全く面白くない。
ザイオンの描写もいまいちで、同上の技術力の見せびらかしに見えつつ画的にも面白くないため全く楽しくない。せっかくあんな規模の群衆を見せているのにダンスて。
モーフィアスの演説による「我々は生きている」ってのを見せているのかもしれないがスローモーションでセックスとダンスをカットバックするあの時間もかなり苦痛。他にもやたらセクシャルな描写が多く、子供の頃もイライラしていたけど大人になって見てもイライラしたので改めて『マトリックス』にセクシー要素は要らないなと確信した。
モニカ・ベルッチとネオのキスシーンはトリニティよりもモーフィアスどんな顔して立ってんだろとか思っちゃうし笑
預言者との邂逅シークエンスは毎度興味深いんだけど前回はキッチンでクッキーの小道具があったりしたのにベンチに座った状態の二人のアップを繋げているだけなので会話内容しか面白味がなく映画的にはつまらなくなっている。
『マトリックス』の続編と言えば！の増殖スミスは何度見ても笑う。シュールレアリスムだよこれ笑。増えていく演出がクソ面白い。押すな押すなと駆け寄ってくるスミスやモブ並みにバタバタ倒れるスミス、ゲーム映像のようなCGで空に飛ばされるスミス、多勢に無勢過ぎて戦い方が完全にギャグになるのも笑わずには見ていられない。解散するスミスまで見るともう狙っていないのなら天然も度が過ぎるだろうと思わされるのにモニター越しに見ているネブカドネザル勢は神妙な表情を浮かべていてなおさら笑う。
高速道路のセットを作ったってアホみたいな背景をもつアクションシークエンスも当時は画期的だったけど今見ると凡庸に見えてしまう。一番カッコつけてるのがモーフィアスなところも好きな人にはたまらないかもしれないが個人的にはそこまで上がらない。
なんだけどやっぱウォシャウスキーは素晴らしい。好きだなぁと信じられる。それはディストピア物として見ると凄く良いから。
モニターだらけのセットはさておき前作の期待に対する答えを一度提示し、そこから次へと繋げる問答がたまらなく好きだ。
信じることの重要性を訴えた前作の続きが『愛』だなんてストレート過ぎるけどそのためにこんな壮大なことをして見せるウォシャウスキーが愛おしくてたまらない。思えばウォシャウスキーはずっと愛についての映画ばかりを撮っている気がする。博愛よりも一人への情熱的な愛こそ奇跡を起こすなんて気恥ずかしいことを大真面目に語れるからこそあのスミス増殖、そして次作『レボリューションズ』が生み出せるんだなと。カッコいいよ。誰も真似できないもの。大好きだよ。
