イチロヲ

プリティ・ベビーのイチロヲのレビュー・感想・評価

プリティ・ベビー(1978年製作の映画)
3.5
高級娼館に従事している12歳の少女(ブルック・シールズ)が、娼婦を一人の女性として扱ってくれる、写真家の青年に心惹かれていく。1917年のニューオリンズを舞台にして、少女売春の異様な世界を描いている、エロティック・ドラマ。

娼館内部の悲喜交交を、ラグタイムやディキシーランド・スタイルの音楽に乗せながら、情感たっぷりに描いていく。娼館の日常風景が精緻に描写されており、主人公を禿(かむろ)に置き換えると、そのまま日本の遊廓の物語に置き換えることができる。

「子供が子供らしい生活をすることができない」という異世界感覚がインパクト絶大。娼館の生活で無意識的に身に着けた振る舞いが足枷になってしまう少女と、娼婦の人間味や情緒を過度に汲み取ってしまう青年の、やるせなさが伝わってくる。

本作では、ブルック・シールズがロウティーンの華奢な肢体を体当たり演技で披露。子供と大人の狭間に落ち込んでしまい、そのシーソーゲームに喘いでいる少女の機微を、卓越した表現力で魅せてくれる。
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