ジョシュア・サフディ&アダム・サンドラーコンビの新作。もちろん最高。一時間ちょっとのサンドラーのスタンダップコメディだが、手持ちキャメラでサンドラーと名もなき人々(変人)とのやりとりを映す冒頭から、ざらついた、あのサフディ映画の臭い。
パーカー羽織ったままステージにふらりと上がり、際どい小話とブリッジとしてのバカ歌で客を笑わせるサンドラー。モニターが壊れていたり、床が抜けたり、もちろんそれも「ドキュメント」的な演出だが、サンドラー独演会にそれらのアクシデント(反応)が加わることによって、たんなる記録映像ではなくサフディ監督の「作品」に転化し、こちらの気持ちも高まりだす。
コメディの素晴らしさと、かつてのコメディアンへの愛を恥ずかしげもなくド直球に歌うラストがベタだが良すぎる。サンドラー仲間で早死したクリス・ファーレイの名が聞こえた時、ちょっと泣きそうになった。共演した女性キャストとして、ドリュー・バリモアとジェニファー・アニストンの名を挙げたのも嬉しかった。そりゃあそうだよな。
『プロゴルファー・ギル』あたりからNetflixで量産されているゴミみたいなサンドラー喜劇まで未だに惰性で見続けている特異な人なら、その歴史の一つの区切りとして見る意味も価値もある。それをサフディに撮らせるサンドラーも、まだ枯れていないというか、このコンビには「映画」の未来が確かにある。