ヴェルヴェっちょ

ファーゴのヴェルヴェっちょのネタバレレビュー・内容・結末

ファーゴ(1996年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

映画にも相性というのはあるのでしょう。ストーリーはさほど込み入っているわけではないのですが、ある意味で難解な映画でした。

1987年冬。ミネソタ州の自動車ディーラー、ジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は多額の借金を負い、早急に大金を必要としていた。
彼は妻ジーンを偽装誘拐して、自動車業界の大物である妻の父親から身代金を引き出すことによる借金返済を目論んだ。
ジェリーは整備工場で働く元囚人から2人の男を紹介してもらい、ノース・ダコタ州ファーゴへ向かった。神経質に喋り通しのカール(スティーヴ・ブシェーミ)と一言も喋らない凶暴そうなゲアは、誘拐の実行を約束する。
カールとゲアは白昼堂々、誘拐を決行。しかし、隣町ブレイナードへ逃走中、ゲアはパトロール中の警官と目撃者をあっけなく殺してしまう。
翌朝、ブレイナードの女性警察署長で出産を控えているマージ(フランシス・マクドーマンド)が殺人事件の捜査に乗り出した…。

雪深い景色とは対照的に、どの登場人物も軽薄で短絡的。
杜撰なチンピラ2人は、偽装誘拐を成功できないのはまだしも、人殺しを犯してしまう。
常識人といえば身重の捜査官マージくらいだが、丁寧な捜査はするものの、彼女に際立った特徴も見出し難い。

そして何よりこの映画が実話を基にしている「風」であるということ。この手法は二度と使えない。
全編を通して、淡々と進むストーリー。いやむしろ意図的に軽薄にされている様子さえ窺える。そう、この映画はブラックコメディ。
かくも滑稽で哀れな人間たちよということ?
そこまで読み取るほどの感受性は残念ながら持ち合わせていなかった。つまり、笑えなかった。
ユーモアはなかなか難しい。