ファーゴという映画について綴る。
本作の冒頭で「この映画は実話に基づいている」というクレジットが表示されるが、実はこれは演出でフィクションだ。
ただ、この映画の中であった死体遺棄の方法を実際に行った人が居たなど随所に事実やモデルになった出来事があるためリアリティーのある恐ろしさが表現されている。
内容としては金欲しさに狂言誘拐を目論んだ男が全てチンピラに計画を委ねていたら次々と恐ろしい事件が起きてゆくというものだ。
この映画を観て感じたのは罪を隠すためには、より大きな罪が必要になるということだ。
身近なものを例とするなら嘘をつき通すには、さらに大きな嘘が必要になると言ったところだ。
これと同じで最初の一つから次々にドミノ倒しになってゆく。
そして、僕が思うに幸福も不幸も静かだ。
けれど明確に異なる点がある。
それは幸福がただ平穏なのに対して、不幸には必ず取り繕うための嘘があるという点だ。
不幸が静かなのは取り繕う嘘があるからだ。
この映画に登場する女性警官は終始幸福を象徴していたように思う。
彼女が登場するシーンから本作の空気は一変する。
残酷で悲しい事件を描いた作品でありながらラストにその印象が少ないのは間違いなく彼女のおかげだろう。