カツマ

ファーゴのカツマのレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
4.0
20年間も騙されていたことに今更気付いた。何が"True Story"だ。10代の頃にノンフィクションだと思っていた自分がもはや愛おしい(笑)
そう、観れば観るほどこの映画は完全なるフィクションだった。サスペンスのツラの皮の厚さに騙されてはいけない。この映画は恐らくコメディだ。コーエン兄弟らしいウィットに富んだ変化球は、思いも寄らない軌道を描き、見事にストライクゾーンに突き刺さる。今や『雪原×殺人事件のコラボレーション=ファーゴ』と言っていいほど、一種のブランドと化した作品だ。

〜あらすじ〜

1987年、ミネソタ州ミネアポリス。自動車ディーラーのジェリーは、とある事情で大きな借金を抱えており、どうしても大金が必要だった。
そこで、下卑たチンピラ二人、カールとゲアに、自らの妻を誘拐させて身代金をせしめることを提案。身代金はジェリーが出すわけではなく、妻の父(つまりは義父)のウェイドから奪い、それをチンピラ達と山分けするという算段だった。
しかし、その計画は予想通りには進まない。チンピラ二人は誘拐実行の移動中に警官に発見されてしまい、この警官を射殺。更には偶然その場を通りかかった二人を殺害し、金目当ての誘拐事件はいつしか殺人事件に発展することに・・。

〜見どころと感想〜

とりあえずはブシェミを堪能するための映画と言って間違いないと思う。何度も目撃者から『変な顔』呼ばわりされるブシェミ。ファ○クを連発するブシェミ。そしてキングスマンゴールデンサークルを体現するブシェミと、みんなのブシェミ大堪能映画なのである。
出演俳優は個性派ばかりだが、特にミネアポリスの訛りまで演じ分けたフランシス・マクドーマンドの演技はアカデミー賞でも絶賛されている。

意味のないやり取りに何か意味があるのかと思わせておきながら、その実何の意味もない、という描写が最高。意味のなさをブラックコメディに溶かしこみ、逆に意味のあるシーンでは鮮烈に残酷に物語は進んでいく。お金が欲しいからといって誘拐事件を企むのはやめておいた方がいい。上手くいくわけのない計画は、もはやそれ自体がコメディなのだから。
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