TIFF。
黒猫ちゃんの大冒険。
人がいなくなり、世界が大洪水に見舞われた世界。
沈んでゆく土地に住む黒猫は、偶然流れて来た一艘の小舟に乗り込む。
カピバラ、キツネザル、犬、ヘビクイワシ、小舟には色々な動物たちが乗り込んで来て、ある者は残り、ある者は去ってゆく。
「未来少年コナン」的世界観で展開する、動物たちの方舟の物語。
前作の「Away」が素晴らしかったギンツ・ジルバロディス監督、今回も台詞無しで全てが進むが、テリングも洗練度を増したこの世界では台詞はノイズ。バジェットもかなり増えたらしく、ルックもリッチだ。
動物キャラクターのカリカチュアは最小限で、特に猫と犬は身近な生物だけあって、それぞれのあるあるに笑いが起きる。
むしろペットでない野生動物の方が、芝居がかっているのが面白い。
小舟に乗った動物たちの物語は「ライフ・オブ・パイ」の中で語られた、もう一つの物語を思わせるが、こっちの話の進む先は真逆。
水と水の嫌いな猫、自らを映し出す鏡と水面などの象徴性。
神話的な冒険の果てに、動物たちがたどり着いた境地とは。
徹底的作り込まれた異世界は、眺めているだけで面白い。
重厚な命の物語だ。