Kuuta

オアシス:ライヴ・アット・ネブワース 1996.8.10のKuutaのレビュー・感想・評価

3.5
オアシス最高のライブとされる1996年8月10日の映像ノーカット版。最高ということは、これをピークに落ちていくということ。彼らの時代の終わりを切り取った作品でもある。ノエルが「お前たち若い奴が歴史を作るんだ」と観客に呼びかけ、マスタープラン、ドンルクと畳み掛けるあの場面がキャリアの頂点だったのかもしれない。

・リアムの声は本当にベストコンディションで、Cast No Shadowとか完璧では。アランホワイトの弾むようなドラムあってのオアシスだなと再認識した。ボーンヘッドは音絞られてる?ギグジーは写りもしない

・ストーンローゼスに憧れたワナビーバンドであり(All You Need is Loveで終わった2018年サマソニのノエルが私が見た最後のライブなのだけど、アンコールの締めに堂々とビートルズのカバーを持ってくるのがこの兄弟らしさなのだと思う)、模倣のはずなのにノエルの曲が良すぎて、1st、2ndアルバムで自他共に認めるロックンロールスターになった。3rdで魔法は解け始め、オアシスはワナビーからの脱却を目指してもがいていく。試みは成功したとは言い難く、ロックンロールリバイバル全盛の2000年代、分厚いギターを鳴らす彼らは時代から浮いた存在になっていった。

このライブでも、当時の新曲だから仕方ないのだが、ドンルクに続いて演奏される、後に3rdに収録されるMy Big MouthとIt's Gettin' Betterでは、あれだけ騒いできた観客の表情が映らない。編集に意図はないのだろうが、明らかに残酷な何かが映ってしまっている。

新曲2曲に続き、Live Foreverで本編を終える。過去のミュージシャンに敬意を示し、ジョンレノンがスクリーンに大写しになる。アンコールでは憧れのストーンローゼスのジョンスクワイアが演奏に加わる。成功はこれからも続き、オアシスは歴史になっていくのだと信じてやまない、自信にあふれた若者の姿が眩しくも切ない。
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